学習指導要領にも明記された!これからの子どもたちに求められるキャリア教育とは!?|熊本市の学習塾ブレイクスルー・アカデミー

こんにちは。熊本市の教育&勉強攻略アドバイザー、ブレイクスルー・アカデミー代表の安東正治です。


今回はキャリア教育についてまとめてみます。国家資格キャリアコンサルタントの合格発表はまだまだ先なので、ちょっと気が早いかも知れませんが、業務独占ではなくあくまでも名称独占ですから、資格がなければやってはいけないということでもございませんので、せっかく勉強した内容でもありますし、この機会に学校領域におけるキャリア教育がどのように学習指導要領に明記され、どういった形で学校教育に浸透していくのかについてまとめてみたいと思います。


熊本の学習塾ブレイクスルー・アカデミーとしては、今後は学校現場への貢献を深めることで、より多くの子どもたちに対してアプローチできるように動いていく所存ですので、そのためにもキャリア教育がどのように扱われ、求められ、目指されるのかをきっちり把握しておきたいと考えました。将来と今の目の前の勉強を明確に繋げていくためにも、文部科学省や厚生労働省をはじめ国が進めようとしているキャリア教育の方向性を再認識しておきたいと思います。


なお今回の記事の内容は、私が実際に参加しましたキャリアコンサルタント養成講座の際に配布されたテキスト『キャリアコンサルタント その理論と実務』(一般社団法人 日本産業カウンセラー協会)の内容を再編集したものです。

中学校に求められるキャリア教育とは

学校教育法では、中学校の設立目的として「中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。」(第45条)と定めています。この目的を達成するための目標については、初等教育(つまり小学校)と同じく以下のように設定されています。


<義務教育として行われる普通教育の目標(学校教育法第21条)>
・学校内外における社会的活動を促進し、自主、自立及び共同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
・学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
・わが国と京都の現場と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国の共同愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
・家族と家庭の役割、生活に必要な衣食住情報産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
・読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
・生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
・生活に関わる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
・健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
・生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
・職業についての基礎的な知識と技能、勤労重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。


なんだか小中学生からこんな沢山の目標(それも人から与えられた目標!)を持たされるとかなり重たい感じはしますが、国が定めたものですのであまり文句は言えません^ ^;


さて、2017年3月に告示された現行の中学校学習指導要領でも小学校と同様、初めて「キャリア教育」の用語が示されています。


「生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的、職業的自立に向けて必要な基盤となる資質、能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。その中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと」


特別活動を要としつつも、各教科等の教育活動全てを通してキャリア教育を展開するとともに、その中で進路指導を行うという考え方が示されているのです。特別活動については、活動学級活動の内容として新たに「一人ひとりのキャリア形成と自己実現」が設けられ

「社会生活、職業生活との接続を踏まえた主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用」
「良い社会参画意識の醸成や勤労観、職業間の形成」
「主体的な進路の選択と将来設計」

の3つに取り組むことが示されました。

高校に求められるキャリア教育とは

学校教育法は、高等学校の目的について「高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする」と定めています。そして次に挙げる目標を達成するよう行われるものとする、とし

「1、義務教育として行われる普通教育の成果をさらに発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな体を養い、国家および社会の形成者として必要な資質を養うこと」
「2、社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること」
「3、個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと」

という3つの目標を掲げています。


2018年3月に告示された高等学校学習指導要領の記述では、キャリア教育に関する重要な記述が2カ所見られるのでご紹介しますと、1つは

「学校においては、キャリア教育及び職業教育を推進するために、生徒の特性や進路、学校や地域の実態等を考慮し、地域の産業会等との連携を図り、産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験活動の機会を積極的に設けるとともに、地域や産業界等の人々の協力を積極的に得るよう配慮するものとする」

というもの。そしてもう一つは

「生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的、職業的自立に向けて必要な基盤となる資質、能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科、科目等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。その中で、生徒が自己のあり方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと」

というものです。


なお特別活動については、新たに「一人ひとりのキャリア形成と自己実現」が設けられており、

「学校生活と社会的、職業的自立の意義の理解」
「主体的な学習態度の確立と学校図書館等の活用」
「社会参画意識の醸成や勤労観、職業間の形成」
「主体的な進路選択決定と将来設計」

の4つに取り組むことが示されました。


さらに興味深い変更点として、教科「公民」に新たな科目「公共」が設けられた事が注目に値します。この内容としては

「自分自身が、自主的により良い公共的な空間を作り出していこうとする自立した主体になることが、自らのキャリア形成とともにより良い社会の形成に結びつくことについて理解すること」

が示されるとともに、内容の取り扱いとしては

「この科目においては、教科目標の実現を見通した上で、キャリア教育の充実の観点から、特別活動等と連携し、自立した主体として社会に参画する力を育む中核的機能になることが求められることに留意すること」

と記載されているのです。

大学に求められるキャリア教育とは

学校教育法は、大学の目的について「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸大教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」(第83条)、「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」(第83条第2項)と定めています。


ちなみに大学設置基準では「大学は、当該大学及び学部等の教育上の目的に応じ、学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的および職業的自立を図るために必要な能力を、教育課程の実施及び構成しほどを通じて培うことができるよう、大学内の組織間の有機的な連携を図り、適切な体制を整えるものとする」と定められていて、これは、2010年2月25日に改正され、2011年4月1日から施行されたものです。この時にはまだ「キャリア教育」という用語は使われてはいないのですが、このときの一連の議論において重視されたのは、大学教育の質保証をどう進めるか、というものでした。


例えば社会的職業的自立に関する指導等においては

①大学の自主性自主性、自律性が尊重されるべきこと
②大学としての体系的な取り組みが求められること、要は業者や外部人材への”丸投げ”は望ましくないこと
③学内の組織体制を整備すべきこと
④大学としての取り組み状況を広く社会に公開すべきこと
⑤産業界や各種団体を始めとする社会との連携、協力のもとに進めるべきこと、

という内容が共有されました。(文部科学省、2010)。

そもそもキャリア教育が急がれている理由とは?

そもそも教育政策、行政関連の文書において「キャリア教育」という用語が初めて用いられたのは、1999年12月に出された中教審答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」(中央教育審議会、1999」でした。今から20年以上前ですね。若年層の就職難、フリーター志向の広がり、進路未定者の増加、高い早期離職率などの背景を、学校教育と職業生活との接続の課題とあると捉えた上で、その解決の方針として学校と社会及び学校間の円滑な接続を図るためのキャリア教育を、小学校段階から発達段階に応じて実施する必要性を解いたのが最初です。


また、「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」(文部科学省、2004)において、キャリア教育の定義は「キャリア概念に基づいて、児童生徒一人ひとりのキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲、態度や能力を育てる教育」とされました。さらに「端的に言えば、児童生徒一人ひとりの勤労観、職業間を育てる教育」とも追記されています。これはキャリア教育の普及を促進するために、包括的なキャリア教育の概念が「勤労観、職業間」に特化されたとも言える内容です。なおこの時掲載された、育成する力としてのいわゆる「4領域8能力」は以下の通りです。

▶︎「人間関係形成能力の領域」
 ・自他の理解能力
 ・コミニケーション能力
▶︎「情報活用能力の領域」
 ・情報収集、探索能力
 ・職業理解能力
▶︎「将来設計能力の領域」
 ・役割把握.認識能力
 ・計画実行能力
▶︎「意思決定能力の領域」
 ・選択能力
 ・課題解決能力


ちなみに、教育を通して育成する力、あるいは社会に出ていく時や社会において必要とされる力については「生きる力」(中央教育審議会、1996)、「学士力」(中央教育審議会、2008)、「人間力」(内閣府、2003)、「社会人基礎力「(経済産業省、2006)、「就職基礎能力」(厚生労働省、2004)など、各省庁から様々な概念が提唱されています。というか、それぞれがそれぞれの理想を詰め込んだものを提唱しているわけで、できれば国として統一したものを提示して欲しいというのが個人的な願いではあるのですが、そういった流れから、これらを踏まえて設定されたのが「基礎的、汎用的能力」ということになります。

「生きる力」(文科省、1996)
確かな学力、豊かな心、健やかな体

「学士力」(文科省、2008)
知識、理解、汎用的技能、態度、指向性、総合的な学習経験と創造的思考力

「人間力」(内閣府、2003)
知的能力的要素、社会、対人関係力的要素、自己制御的要素

「社会人基礎力」(経済産業省、2006)
前に進む前に進み出す力、考え抜く力、チームで働く力

「就職基礎能力」(厚生労働省、2004)
コミュニケーション能力、職業人意識、基礎学力、資格取得、ビジネスマナー

「基礎的、汎用的能力」(文科省、2011)
キャリアプランニング能力
課題対応能力
自己理解、自己管理能力
人間関係形成、社会形成能力


つまり、当初想定されていた「勤労観、職業間」を育てる教育から「基礎的、汎用的能力」を育てる教育へと大きく変化したということなのです。これはあくまでも前概念の否定ではなく包括と見られています。

初等中等教育のキャリア教育で重要視されていること

現在、初等中等教育において重視されているのは、2007年の学校教育法の改正において規定された「学力の三要素」と、現行の学習指導要領における「資質、能力の3つの柱」です。


学校教育法に明記された「学力の三要素」とは

①知識技能
②思考力、判断力、表現力等
③主体的に学習に取り組む態度

の3つです。


また、現行の学習指導要領ですべての教科等において「資質、能力の3つの柱」に基づく教育課程の枠組みが整理されています。「資質、能力の3つの柱」とは

①知識技能の習得
②思考力、判断力、表現力等の育成
③学びに向かう力、人間性等の涵養

なのですが、一見してお分かりの通りこれらは学力の三要素と大きく共通しています。


それから、小中高等学校におけるキャリア教育の実践において注目されることとしては、現行の学習指導要領への移行に伴い2020年度より新たに「キャリア・パスポート」が導入されたことです。


小中学校の学習指導要領告示に先立ち、2016年12月に発表された中教審答申において「教育課程全体で行うキャリア教育の中で、特別活動が中核的に果たす役割を明確にするため、小学校から高等学校までの特別活動を始めとしたキャリア教育に関わる活動について、学びのプロセスを記述し振り返ることができるポートフォリオ的な教材を作成することが求められる」と提言されたことを受けたもので、この「学びのプロセスを記述し振り返ることができるポートフォリオ的な教材」が正しくキャリア・パスポートのことを指しています。


「キャリア・パスポート」は、児童生徒にとっては自身の変容や成長を振り返り、自己評価できるように工夫されたポートフォリオであり、教員にとっては児童生徒と対話的に関わるための指導の資料として活用されることが期待されるツールです。児童生徒は、年間を通じて節目ごとに数回、キャリア・パスポートの記入に取り組み、場合によっては保護者や担任教師からコメントをもらう等のフィードバックを受けるようになっており、記録されたキャリア・パスポートは学年や学校種を超えて受け渡していくことが想定されています。なおキャリア・パスポートの記入様式については、文部科学省による例示資料が公開されてはいるものの、基本的には各地域、学校の裁量で自由に設定できるものですので、より使いやすく、かつ情報の整理、共有がスムーズに行える様式に改良し続けていくことが求められます。


ということで、今回はテキスト内容をベースに全体を理解しやすいようにまとめ直してみました。今後学校領域で活動していく予定ですので、基本的な知識は頭に入れておきたいと思い備忘録的に記事に起こしてみました。何かの参考になれば幸いです。








 

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