中国史で読み解く『キングダム』!なぜ秦の嬴政だけが中華統一を目指せたのか!?|熊本県の学習塾ブレイクスルー・アカデミー
こんにちは。熊本の教育&勉強攻略アドバイザー、ブレイクスルー・アカデミー代表の安東正治です。
今回は漫画『キングダム』を10倍面白くしてくれる本のご紹介です。読みやすく、また為になる1冊でした。私事ですが、先月11月は正にキングダム月間と呼べるほど『キングダム』にハマってしまい、アニメも2周して、漫画も最新刊の62巻まで熟読したので、それなりに詳しくはなりました。その上でこの本を読んだわけですが、やはり当時の中国の事情を知ると見え方が深まりますね。古文もそうですが、古文常識があると文章理解に深みが出るようなものです。
もちろん当時の中国事情を知るということは中国史を勉強することになります。秦の嬴政が中華統一を夢見ていたあの時、中国全土を覆っていた制度、思想を知ることで、なぜ李牧も呉鳳明も媧燐も嬴政のような統一思想を持てなかったのかが見えてくる。これは個人的に違和感でしたので、それが分かってスッキリしました。
熊本の学習塾ブレイクスルー・アカデミーも、中華統一ならぬ日本統一を目指す者として、マインドをバンバン刺激してくれる最高の漫画『キングダム』をさらに多くの方々と共有できたらと思いますので、もしご興味あられましたらお付き合い下さい。
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『キングダム』中国史を知ると10倍深まるワケ!
今回は極力ネタバレなしでいきたいと思います。というのも、実は今回ご紹介する本は「ネタバレなし」と帯に書いてあるにも関わらず結構ネタバレしちゃってるので、せめてこの記事ではネタバレはしないでおこうと思ったからです。私は全部読んでるから大丈夫だったのですが、これから読まれる方は注意の程をお願いします。
さて、漫画『キングダム』はその登場人物の大半が史実に則っていますし、ストーリーもかなり史実を調べられた上で描かれているので、中国史を理解することがダイレクトにこの漫画を10倍も20倍も深めてくれることに繋がります。
例えば六大将軍はいなかったにしろ、白起将軍は実在したようです。白起はあの長平の戦いで趙の投降した兵士40万人を生き埋めにした人物ですが、その残虐な行いさえも史実というから驚きです。ちなみに王騎も史実にある人物のようですが、別人として描かれている『キングダム』と異なり王齕(おうこつ)と同一人物だったかも知れないと言われていて、定かではありません。
また、定かではないことで言えば山の王楊端和(ようたんわ)と女副長の羌瘣(きょうかい)も、史実には登場するものの、女性か男性かははっきりとは分からないようで、それを美しい女性として描いているあたりは原 泰久先生の想像力の賜物です。ちなみに原 泰久先生は以前小島瑠璃子と噂になっていた人でしたね(調べていて情報が出てきました笑)。
少し固い話に戻しますと、例えば秦の嬴政が声高に宣言する中華統一ですが、彼の生きた時代である春秋戦国時代の前に、確か殷と周という統一国家があったのでは?と思われるかも知れません。確かに中学でも「殷、周、春秋戦国、秦、漢、隋、唐、宋、元、明、清」と覚えさせられたように、秦の前に既に統一された時代があったように見えてしまいます。ただこの殷や周の時代の統一と、秦の目指す統一は意味が違うのです。こういうところもこの本で学べる重要な気付きでした。
秦の嬴政が目指した中華統一という野望
秦の統一から現代の中国に至るまでの2200年間の間で、中国が多国に分裂したのは魏晋南北朝時代と五胡十六国時代の計400年間ほどで、それ以外はある国が中華を統一した状態にあったというのが、大まかな中国の歴史です。そして、統一国家の名前として最初に実在が確認されている国として殷、その次の国家として周が出てくるのですが、この時と秦の置かれた時代的背景はまるで異なっていることを認識せねばなりません。
殷や周の時代当時の支配というのは、面ではなく点でした。どういうことかというと、殷や周の時代の国とは城そのものだったからです。当時の城を「邑(ゆう)」と呼ぶのですが、当時の城とは『キングダム』の中で描かれているように、城壁に囲まれた一都市のようなものだったのです。それを一つの国として考え、それらの主要な邑を支配下に置くことが「統一」の意味するものでした。しかしその邑と邑の間の空間、邑の外の空間は、実は支配の及ばぬ無法地帯だったのです。邑の中は確かに王族の支配が及ぶのですが、邑の外は王族の支配の管轄外という明確な線引きがあったことで、そのいくつかの邑を支配している王族を身内で固めることで「統一」ということになっていた。でも秦がやろうとしていたのは面の支配、つまり邑の外に関しても全部支配下に治めようとしていたわけです。この意味で秦の中華統一思想は殷、周時代とは似て非なるものでした。
さらには、殷や周の統一が「身内」で固められたことから分かるように、当時の中国の支配体制を支えていたのは氏族制度という宗族を中心とした繋がりです。世襲制をイメージしていただくと分かるのですが、要は本家と分家というアレです。血筋で全てが決まり、偉い人の子どもは偉くなれるが、身分の低い人の子どもは同じく低い身分でしかいられないという世界です。インドで言うところのカースト制度のような状態です。この制度があるおかげで、王をトップとするピラミッド構造が崩されずに維持されてきたというのが背景にあります。
またその氏族制度を肯定する思想として、孔子が体系化してまとめた儒家思想というのがあり、上の者に逆らってはいけない、下の身分の者はその自分の身分の低さに甘んじていることこそが善である、といった当時の風潮を正当化することに一役買っていたわけです。この氏族制度と儒家思想が中国全土を覆っていたからこそ、国が安定して存在できるのであって、それを否定すれば今以上の混乱が起こるとして、あの趙の李牧も、魏の呉鳳明も、楚の媧燐でさえも、その”常識”を覆そうとはしなかったのです。
ではなぜ秦だけが、非常識極まりない中華統一なんて世迷いごとを声高に宣言できたのか。それは秦の成り立ちが関係しています。後進国だったが故に世俗に塗れなくて済んだというのが大きな説明です。
ちなみに、秦の嬴政が仮に中華統一を目指さなかったとしても、中国はそのうち統一に向かっただろうと言われています。なぜなら農業技術が発達することで先ほどの氏族制度が緩み始めるはずだからです。青銅器が鉄器に代わり、牛犂耕(ぎゅうりこう)といった耕作技術が登場することで、個人でも効率的な収穫が可能になると、宗族の上下に甘んじている意味も無くなっていきます。氏族制度が必要だったのは、一族全体の横の繋がりを強固にして協力体制の下で生産性を上げるためであり、それが個人の収穫が見込めるようになれば、協力の重要性が薄れ、その呪縛が瓦解していくことになります。そうすれば下剋上が乱発し、力ある者がのし上がれる世界になる。そうすると結果的に当時の戦国時代の状態から200年〜400年ほどで、どこかの国が統一を果たしたであろうと、研究されていました。ですから秦の嬴政は、その歴史の時計の針を400年も早めたということになります。とんでもないことをしたのです。
この歴史のダイナミズムを理解できるようになるのが、この本の魅力と言えます。
熊本の学習塾ブレイクスルー・アカデミーが学んだ統一思想とは
そんな壮大な中国史の片鱗を描く漫画『キングダム』ですが、ただ読んで満足するだけに終わらないのが熊本の学習塾ブレイクスルー・アカデミーです。500年続いた乱戦の世を統一するために、あえて血生臭い戦による中華平定を選んだ嬴政の思いに、バンバン刺激されたからです。
別に戦争を起こそうと思っているのではありません。ただ明治維新以来150年間、大いに歪められてきた日本の教育システムから子どもたちを解放すべく、熊本の学習塾ブレイクスルー・アカデミーの思想、思考、発想、マインドを日本全国に浸透させたいという野望が沸々と湧いてきたのです。
秦の嬴政が中華統一を果たした後、史実に見ればそのたった十数年後に秦は完膚なきまでに崩壊します。他六国を叩き潰して統一した反動で、今度は秦が徹底的に攻め滅ぼされたのです。しかし嬴政の統一思想は、その後の劉邦(りゅうほう)による漢の統一にも活かされました。つまり、嬴政の思いは潰えることなく、でも形を変えながら次の時代にも引き継がれていったのです。
ですから、私の思いもまた、勉強のOSとして全国に浸透した後に、自己成長、自己進化を遂げていくでしょう。私の今の形が正解だとは思いません。でも少なくても現時点での最善解であることは間違いないでしょう。でもそれも時代の変化に伴って変わっていかなければなりませんし、個人個人の置かれている状況でも異なるはずです。だから私の伝えたい内容のままで遺って欲しいわけではないのです。せめて伝われば、その内容を種として、色々な花を各自が咲かせてくれるはず。そこに賭けたいのです。
嬴政がやったのは500年続いた乱世を治めたことであり、あの広い広大な中華を統一したこと。それに比べれば、この狭い日本で、たった150年の歪みを治すことくらいできそうではありませんか!?少なくても私は「自分がやらなければ代わりはいない」と思っています。現に五万とある学習塾は、子どもたちの勉強の苦しみを解消できていない。今の学習塾じゃ解決はできないということなのです。しかし単なる否定ではありません。アウフヘーベンです。私はジンテーゼを提示します。それが形となったのが熊本の学習塾ブレイクスルー・アカデミーであり、勉強戦略コンサルティングなのです。
最後アツくなってしまいましたが、少しでもこの学習塾や勉強戦略コンサルティングというサービス内容にご興味いただけましたら、是非お気軽にお声掛け下さい。きっと何かのお役に立てるはずです。
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