【高校化学】硫酸銅(Ⅱ)五水和物の基本問題を今日でマスター!

こんにちは。熊本の勉強戦略コンサルティング指導塾、ブレイクスルー・アカデミー代表の安東正治です。

 

 

生徒さんからの質問の中で、高校化学硫酸銅(Ⅱ)五水和物問題がありました。これは最初はなかなかに複雑な問題のように感じるのですが、理屈さえ分かれば解き方もワンパターンなので解きやすくなると思います。今日のこの記事で完全にマスターしてしまいましょう。

 

 

硫酸銅(Ⅱ)五水和物とは

ではまず、硫酸銅(Ⅱ)五水和物とはどんな物質なのか、ということを簡単にお話ししていきます。

 

 

そもそも水和物とは、分子中に水分子H_2Oを持つ物質のことを言います。水和物は無機物も有機物もあり、くっついているH_2Oのことは水和水と呼ばれます。五水和物ということは、勿論水分子が5つくっついているわけですが、多い物では硫酸アルミニウムのように十七水和物というものまであります。

 

 

資料集などで硫酸銅(Ⅱ)五水和物を見た事がある方もいらっしゃると思います。あの鮮やかな青色。あの硫酸銅の青色は、実は銅と水の錯体の色です。もし水分子が取れてしまうと無水硫酸銅は真っ白になってしまいます。

 

 

ちなみに錯体とは、金属イオンに配位子と呼ばれる分子やイオンがくっついたもので、そのくっつき方のことを配位結合と言います。中には配位結合ではなく水素結合したもので錯体と言うものもありますが、ここら辺は踏み込み過ぎなくても大丈夫です。高校化学では錯イオンを習うので、その部分が出てきたら覚えてみて下さいね。

 

 

硫酸銅(Ⅱ)五水和物の基本問題

では問題です。

 

 

硫酸銅(Ⅱ)は水100gに、60℃で40g、20℃で20g溶けるものとする。60℃の硫酸銅(Ⅱ)の飽和水溶液140gを20℃まで冷却した時、析出する硫酸銅(Ⅱ)五水和物は何gか。H = 1.0、O = 16、S = 32、Cu = 64。

 

 

こういった問題では以下の項目について理解しているかどうかがまず問われます。

 

 

・溶解度

・溶質、溶媒、溶液の関係

・質量パーセント濃度

・硫酸銅(Ⅱ)五水和物の扱い

 

 

まずは溶解度です。溶解度とは、水(溶媒)100gに溶ける溶質の量をことを示しています。60℃における硫酸銅(Ⅱ)の溶解度は40(40g/100g aq)で、20℃における溶解度は20(20g/100g aq)となります。つまり1行目の最初に示されているのは、この溶解度についての情報です。

 

 

ちなみに、溶質とは溶けている物質、溶媒(ようばい)とは溶かしている液体、溶液とは溶質と溶媒を合わせたもの、つまりは全体のことを指します。この問題における溶質は硫酸銅(Ⅱ)、溶媒は水、そして溶液はその両者を足し合わせた全体となります。

 

 

質量パーセント濃度とは、溶質の量を溶液の量で割った値で示される濃度です。溶液の中に占める溶質の割合ということになりますが、式的には「溶質/(溶質+溶媒)」です。例えば60℃の時の質量パーセント濃度は

 

 

40/(40+100) = 40/140 ≒28.6%

 

 

20℃の時の質量パーセント濃度は

 

 

20/(20+100) = 20/120 ≒16.7%

 

 

つまり質量パーセント濃度は、全体が冷えれば冷えるほど薄くなっていく、ということが分かります。溶解度が落ちるわけですから、割合も落ちていくのは当然と言えば当然です。

 

 

それから、今回が特殊な問題になっている原因は、硫酸銅(Ⅱ)五水和物が析出する際に、溶媒も減ってしまうという点です。本来であれば溶質だけ析出するので、それを溶かしている水自体の量は変化しません。しかし今回のケースでは、析出するのは硫酸銅(Ⅱ)五水和物ですので、析出する物質に5つの水和水がくっついているわけです。この水和水は当然溶媒から取ってきたものですから、溶媒そのものの量も変化する点に注意が必要なのです。

 

 

硫酸銅(Ⅱ)五水和物の析出問題のポイント

この問題のポイントは、回答を組み立てる時の軸をどこにするかです。これだけ溶質も変わって溶媒も変わってという一見複雑な状況に対処するには、その逆に「それでも変わらないものは何か」という点に着目してみて下さい。

 

 

すると今回のケースでは「質量パーセント濃度」です。これだけは変わりません。どんなに溶質や溶媒の量が変化しても、冷却という過程において常にこの水溶液は飽和溶液であり続けます。飽和溶液ということは、溶媒に対して常に溶けることのできるマックス量溶けている状態にあるということです。

 

 

すると最初に与えられた溶解度に対する質量パーセント濃度が維持されます。どんなに溶質や溶媒が複雑に変化しても、最終的に行き着いた先では20℃の飽和水溶液ですから、20/120が使えるわけです。ここに着目しましょう。

 

 

あとは、ここで求めよと言われているものが析出量なので、析出する硫酸銅(Ⅱ)五水和物の量をx[g]と置いてスタートすると良いと分かります。数学の基本も「求めたいものをxと置きましょう」なので、その基本を踏襲します。

 

 

次に、最初の状態からどう変化したかを正確に追うことです。

 

 

硫酸銅(Ⅱ)五水和物はCuSO_4・5H_2Oですので、問題の物質量を参考にすれば

 

 

CuSO_4は64+32+16×4 = 160

H_2Oは1×2+16 = 18

よってCuSO_4・5H_2Oは160 + 18×5 = 250

 

 

ということになります。ここでは把握しておきたいのは、硫酸銅(Ⅱ)五水和物全体のうち硫酸銅(Ⅱ)が占めるのは250のうち160分だけということです。ということは、析出した量のうち硫酸銅(Ⅱ)が占めるのは160/250に当たる部分だけということになります。

 

 

硫酸銅(Ⅱ)五水和物の析出問題を解いてみよう

ではこれらの知識をベースにして実際に解いてみましょう。

 

 

まずは析出量をx[g]と置きます。もともとは60℃の水溶液であり、溶媒である水100[g]に40[g]の硫酸銅(Ⅱ)が溶けているところから話が始まります。20℃に冷却した際に析出した量がx[g]なわけですから、全体は

 

 

140-x [g]

 

 

ということになります。全体というのは溶液としての量です。

 

 

さて、今回の問題では質量パーセント濃度に着目すれば良かったので、溶液が分かったら次に溶質の量を考えてみましょう。

 

 

溶質は最初40[g]溶けていました。そこから冷却した際にx[g]析出したわけですが、析出したのはあくまでも硫酸銅(Ⅱ)”五水和物”なので、水の部分を差し引いた部分で考えなくてはなりません。つまり、x[g]析出しましたが、そのうち溶質が占める割合は160/250なので、今溶けている溶質の量は

 

 

40 – 160x/250 [g]

 

 

ということになります。

 

 

そして今現時点では20℃における硫酸銅(Ⅱ)の飽和溶液になっていることには違いないので、その質量パーセント濃度は20/120に一致しているはずです。つまり

 

 

(40 – 160x/250) / (140-x) = 20/120

 

 

が成り立つ。あとはこれをたすき掛けで解いて、答えがx≒35になればOKです。ということで答えは35[g]ということになります。

 

 

まとめ

苦手な方が多いと思われる硫酸銅(Ⅱ)五水和物の析出問題をやってみました。いかがでしたでしょうか?こうして丁寧に追っていくと頭の中が整理できて良いですよね。最後は数学の問題なので、数式を立てるまでをやってみました。

 

 

理科はやはり用語の理解が重要です。ちゃんと溶解度が分かっているか、質量パーセント濃度のことを理解しているか、用語の関係は覚えているなど、問題が分からない原因はこういったところによく潜んでいるものなので、これからも分からない問題に遭遇した時には、その部分にも意識を向けてみて下さい。

 

 

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